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断熱材充填!!! 2

前回の断熱材のお話しの続きです。

「そんなにGW(グラスウール)を褒めるなら始めからGWが1番って言ってよ!」
もしくは
「GWなんて1番安くて性能の低い一昔前の断熱材では?」

と思われた方もいるのではないでしょうか?

 

まず前者の意見に関しては、GWが1番!とは中々言えない問題(注意点)が多々あります。
そして、個人的にはその問題点が最近の住宅ではGWが使われなくなってきた理由だと思います。

 

 

 

 GWの問題(注意点)とは 

 

それは実は「とにかく施工が難しい!」ということです。

 

いやいやGWなんて昔からある断熱材でどこでも使ってるのに、その施工が難しい??
と思われたかもしれません。

 

その通りで、一昔前は「断熱材なんてGWを適当に詰めときゃ良いんだ」という感覚で施工していた方が多いと思います。
(言葉が悪くてすみません)

 

かの徒然草で「家のつくりやうは夏を旨とすべし」と語られたように、昔の住まいは通風重視。
いたるところで隙間が多く、冬は寒さを我慢!という家の造りでした。

 

ところが中途半端に性能が上がってしまったために様々な問題が起こってしまったのです。

 

シックハウス、壁体内結露、しまいには土台にキノコまで生えてしまう事例も…(ナミダタケ事件)

 

その結果「化学製品の断熱材なんて日本に合わない!気密なんて最悪だ!!」と考える人が出てきたのだと思います。

 

これらは全て断熱材の施工について正しい知識を持たずに施工をしてしまったことで、逆に住環境を悪化させ健康被害や建物まで傷めてしまうという悲劇を生みました。

この辺りでGW自体も悪者にされてしまい「安物の最低クラスな断熱材」というレッテルを貼られ、イメージが悪い方が多いのでは無いでしょうか。

 

 GW施工の具体的に何が難しいのか 

GWという断熱材はガラスを原料とした断熱材です。繊維が複雑に絡み合うことで空気の部屋を作り出しており、この空気の部屋を層として構成することで、優れた断熱性能を発揮します。つまり
「乾燥した空気を静止させて断熱する」ことがとても重要です。

img_2_3(断熱材メーカーMAGさんのHPより頂きました)

 

そして、その「乾燥した空気を静止させて断熱する」ということ自体が難しい、というよりそういった知識を持たずに「取りあえず壁体内に押し込んで入れておく」という認識で施工されることがほとんど。

その結果、本来の性能を発揮出来ずに大して暖かくも無く、壁体内で結露を起こしカビの発生躯体を痛めてしまう。という悲惨な状況に陥ってしまった事例が多くでてしまいました。

 

最近では国も一次エネルギー消費の抑制という観点から、建物の省エネルギー性が求められ「住宅 省エネルギー施工者/設計者 技術講習会」という講習の受講を推進しており、1000円ポッキリで受講出来ます。

 

私も設計/施工の両方を受講しました。
その中でもGWの施工に関して注意点の説明を受けるのですが、正直に言って
「こんな手間のかかる施工出来るか!」と思われた方がほとんどなのでは無いでしょうか。

 

先ほど書いたようにGWは「乾燥空気を静止」させることが重要です。
一般に乾燥空気を静止する為にフィルムの袋に入ったGWが使われているのですが、photo_porikatuto
こういうのです

建物は設計によって高さも違えば、柱のピッチも違います。その長さや幅に合わせて断熱材をカットすることになりますし、中窓の上下なんかも必ずカットしますね。
その時に当然フィルムの袋も切るので、フィルムが連続しません(隙間があく)

そうすると「乾燥空気を静止させる」ことが出来なくなってしまうんです。

その状態では壁体内で気流が起こり、湿気が流れ込み、断熱材として役目を果たさずに先に書いたような環境となってしまうのです…。

 

国としては、そのようなことにならないよう、
・カットする際は断熱材よりもフィルムを少し長めに残してカット
(残されたフィルム無しの断熱材はどうするの…?)
・筋交い(バッテンのやつ)部分は断熱材だけカットして取り除き、フィルムは残して断熱を充填し
(かなり手間がかかる)

とにかくフィルムを連続させなさい!と教えていただきます。
しかし、私はこれまで袋入りGWでこのお手本通りの施工をしている現場は未だかつて見たことがありません。
この文を読まれている建築業界の人間では無い、家づくりを考えている方にはイメージしにくいと思いますが(すみません)それぐらい面倒臭い施工となってしまうんですね…。

 

そして、個人的にはお手本通りの施工を忠実に守ったとしても、確実に空気を静止させることが出来るかというと疑問です。おそらく出来ないと思います。

 

このフィルムというのは専門的には「防湿層」と呼ばれます。
その名の通り湿気を防ぐ層です。
壁体内に湿気を侵入させず壁体内結露を防ぐ目的ですが、本来の断熱性能を発揮させる為には防湿層と同時に「気密層」も取るべきです。
気密層は空気を漏らさない(密閉)層です。

 

この気密/防湿層をGWの袋で取ろうとするのは非常に難しいです。
(面材で気密を取る方法もあるので必ずしも断熱材で取る必要はありません)

 

と、このような理由から「GWの(きちんとした)施工は難しい!!」と豪語した訳です。

 

 

ほんなら一体どうせぇっちゅうねん!!と言われそうですが、またまた長くなったので次回にさせてください…
想定したより長くなってしまっていますが、これは非常に大事な話しですので書ききります!

このブログは一般の家づくりを考えてみえる方に向けてなるべく分かりやすく書こうと思っている(つもりです)ので、専門的な詳細な部分は割愛して書いています。

 

もう少し詳細な話しが聞きたいとご希望の方はお気軽にご連絡ください!
ただし、かなり長い話しが続くことを覚悟してからご連絡ください。
…というのは冗談ですが、まだこれから家づくりを考え始めるところ…という時期にこそ色々な情報を仕入れていただくと良いのでは無いでしょうか。
話しをしたからと言って建築をお申込みいただく必要はありませんので(笑)お気軽にご連絡ください。

 

売り文句に振り回されず、住まわれる方にとって最善な住まいが少しでも増えていく為にも、今後も続けていきます。よろしくお願いいたしますm(_ _)m

 

 

K

 

※告知です

今回は住まい手のご厚意により、断熱施工と防湿気密シート施工が終わった状態で構造/断熱/気密の工事状況が見られる現場見学を3月後半頃に予定しています。

実際に住まわれるお宅であり、駐車場の都合も有りますので完全予約制で時間を調整してご案内させていただきます。

中々見かけない内容(構造・断熱気密とも)になっていますので、この機会に是非ご覧いただきたいと思います。

現在計画を進行中の方やご相談いただいている方を優先してご案内させていただく予定をしており、既に複数組ご案内予定ですので、新規でご見学をご希望の方はお早めにご連絡いただけますと幸いです。

 

構造などのコダワリはこちらの過去記事をご覧ください
大羽根園の家2(仮称)過去記事


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