熊本地震の調査報告書を読んで
2016年4月14日、16日に起こった熊本地震。
一連の地震活動で震度7の揺れが二度起こった初めての地震です。
今回はその熊本地震についての調査報告書を拝見する機会があったので、そのことについて書かせていただきます。
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建築に携わる者としての責任
震度7が二回という揺れの影響か、今までとは違った状況での建物の損傷や倒壊も有り、特に木造住宅の設計/施工を主な業務として行っている私としては、今後の設計活動で考慮していかなければいけない点が多々あります。日々情報収集や新しい技術を学びながら、自分の知識を更新していかなくてはいけないと考えています。
その情報収集のとても重要な場として【M’s構造設計主催 構造塾】という、特に(というよりほぼ完全に)木造住宅に特化した構造設計に関する講習会があります。
M’s構造設計さんの本拠地の新潟では既に7期を迎えている講習会ですが、ちょうど名古屋が2016年に第1期がスタートするタイミングだったので、第一回講座から参加して勉強させていただいています。
その講習の中でよく言われる言葉が
「構造を知らない方に限って【俺の経験ではこれぐらいで大丈夫、そんなのは過剰設計だ】と言います」という事。本当にその通りだと思います。
無頓着な職人さんに限って、手間がかかることを避け「そんなこと今まで見たこともやったこともない!」と言う印象があります…。
勿論、今現在で仕事をお願いしている職人さんにそんな方はいませんし、設計図書通り施工してもらえば良いだけの話しなんですが…。
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熊本地震に関する報告書
その佐藤先生の、熊本地震に関する膨大な内容をまとめた調査報告書が無償で公開(!)ということで拝見しました。
その中で特にこれから住まいを建てる方にご覧いただきたい数枚を転載させていただきます。
本来これらは建築のプロである建築会社側が遵守するもので、住まい手が疑うべきところでは無いと思うのですが…。正しい認識では無い建築が多く建てられている現状だと思います。
築浅の物件でも倒壊しています。
「新築だから大丈夫!」では無いという現実です。
詳細な理由は詳しく内容を確認してからまたお伝えします。
以前の投稿でも書いた内容です。
四号特例の勘違い、というか確信犯ですよね…。
下の画像、右側にある「お客様の為にコストダウン!」という部分が、もの凄く現実の問題点を指摘していると思います。つくり手の勝手な決め付け(思い込み)で、住まい手が望んでいない内容になってしまっている事があると感じます。
故意や過失問わず、これはコストダウンという言い訳の手抜きと言ってしまっても良いのでは無いでしょうか…。耐震基準について不勉強で理解出来ていないということも当然同罪です!
これも報告を聞いた時に考えさせられた内容です。
自宅が耐震強度を満たさないということは、周囲へ被害を与えてしまうことにも繋がります。
この他に倒壊した建物が道を塞ぎ、救助などの車両が現場へ辿り着く障害になった例も有るそうです。
その他にも200ページにも及ぶ内容を更に解説付きで後日公開される予定だそうです。
資料を拝見したお礼に少し宣伝を…。笑
事務所にも一冊あり、ご興味のある方はお貸ししますのでお声掛けください。
建築の技術や様々な見解は日々更新されていくので、常にアンテナをたてて学び続けていきたいと思います。
今後も少しずつお伝えしていきたいと思います。
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