断熱改修フルリノベーション
菰野で進んでいるフルリノベーション、少しずつ着実に進んでいます。
(まだもう少しかかりますが…)
床下が土だったので防湿コンクリートの準備で【防湿シート】。
この後、壁の【調湿可変シート】と連続させます。
防湿シートを敷いた翌日にはこんな感じ(冬でも)
今まではこの湿気が常に床下から上がってきていた訳です。
夏はもっとでしょうね。
コンクリートを打った後には基礎を断熱。
今回は新築ではありませんが、断熱改修も含めたフルリノベーション。
断熱性能はいつも棲栖舎が建てている新築と同じかそれ以上の性能に。
床下も全面コンクリートを打設し直すので、基礎断熱で床下エアコンに挑戦することにしました。
床下に断熱材を敷き詰めます。
立ち上がり部を勝たして(建築用語) 立ち上がりは防蟻用の断熱材に。
全面にホウ酸処理をして、基礎外部も防蟻用モルタルで塗り直します。
工事スタート時は↑こんな状態まで解体を。
既存外壁はめくらずに残しました。
外壁も新たに全面施工し直すのですが、
既存外壁を撤去しようと思うと
撤去する【作業費用】と
撤去した既存外壁を【処分する費用】
がかかります。
コストのことを考えてあえて残しました。
断熱材は、コストパフォーマンスが高い裸品の高性能グラスウールをよく使います。
今回も同じなのですが、裸品のグラスウールを充填した外側が既存外壁では隙間も多く、
隙間風や、隙間から入ってくる湿気に直にさらされることになります。
それは避けたいので、既存外壁の内側に【透湿防水シート】を張りました。
壁の中に入っている白いシートが【透湿防水シート】
更に、床下からは土間下に先行で敷いた
【防湿シート】に
気密テープ処理で連続させた
【調湿可変シート】が覗いていますね…
天井面にも下地を組む前に先行して張った
【調湿可変シート】がぶら下がっています。
(シートばかりで何が何やら分りませんよね笑)
部分的に先行して張っておくことで
隙間無く防湿気密層が連続します。
下地などを介さずに、
必ずシート同士が直接連続するよう施工します。
シート処理が完璧なこの状態、萌えますね。笑
元々は屋根裏でデッドスペースだった部分、高さも有り広かったので急遽床をつくって物置に。
仕上げ素材は簡素なものにしますが、断熱気密は居室と同じです。
全て連続させなければ意味がない。のです。
少々複雑な形状になっているところも隙間なく【調湿可変シート】を連続させます。
屋根面の断熱材は今回【セルロースファイバー】を選択しました。
いつもはグラスウール+フェノールフォームが多いかな。
セルロースファイバーを選んだ理由は、施工状況を見てもらった方が分かるかと。
IMG_4046
(動画重たいです、すみません)
この一見「埃」のようなものがセルロースファイバー。
これを天井裏に300mm厚で吹き込んでもらいました。
動画で見てもらうと分かるように、
今回は改修でしかも主構造は鉄骨、
間仕切りなどその他は木造です。
特に外部の取り合いなど、
こんなに複雑に入り組んだ部分をグラスウールで隙間なく断熱することは不可能に近いです。
なので今回は入り組んだ部分も隙間なく吹き込めるという理由から
セルロースファイバーをブローイング(吹き込み)してもらいました。
普段の新築の場合の屋根面はグラスウール+フェノールフォームが多いのですが
どちらの方が優れている、という問題では無くて、
その建物の条件に一番フィットした、なるべくコストを抑えてきちんと性能が発揮できる断熱材をちゃんと【選ぶ】ことが大事だと思います。
今回はブローイングで大正解でした。
(余談ですが吹付けの発砲ウレタン断熱は基本的に採用していません)
さて、屋根も断熱が出来たところで、やっと壁に断熱材を充填していきます。
壁は比較的に入り組んでいないので
いつもの高性能グラスウールで。
(白っぽいフワフワした感じのが高性能グラスウール)
グラスウールを入れて、大好きな【調湿可変シート】をはればやっと
断熱施工完了!!
…だと思いました?
まだまだいきますよー!笑
これがその後の現場での施工状況。
調湿可変シートをはって、
その上から板状の断熱材(XPS)を増し貼りしてます。
(青い板みたいなものがXPS)
職人さんに嫌がらせしている訳じゃないですよ。笑
グラスウールは柱と柱の間に充填するので
柱の四面の内、室内側は柱が露出します
(シートの中でですが)
この赤丸で囲ったところ。
シートで隠れますが、このまま壁をはれば鉄骨柱の室内側は断熱されずに室内空気に接します。
今回は木造では無く鉄骨造なので、鉄骨の柱があります。
柱の外側には断熱材はありません。
ということはこの時期、鉄骨柱はキンッキンに冷えますよね。
その柱が室内側に露出して、冷えた柱に室内の暖かく湿気を帯びた空気が触れれば結露します。見えない壁の中で。
いわゆる「壁体内結露」です。
構造躯体を腐らせる原因になります。
なので、そうならない為に、
皆様が大好きな【調湿可変シート】をはった上から
壁全面を覆う形で板状の断熱材であるXPS(青い断熱材)をはっています。
これはグラスウールでは出来ないんです。
なぜなら、グラスウールは綿のようにフニャフニャなので、
柱と柱の間に充填する(詰める)しかないんです。
柱の表面にははれません。
断熱材で鉄骨柱が露出しないよう、表面を覆うことが出来ないんですね。
以上の理由から、
もう一層頑張って断熱施工してもらっています。
しかも、壁のXPS(青い板)の上の方を見てください。
分かります?
(下部分が壁面、上に折り返しているのが天井面)
壁の断熱の上部、
天井下地をわざと少し内側に逃しておいて、
青いXPSが天井までピッタリ届くようにしていますね!
下地が壁際にいると、下地に邪魔されて断熱が天井面までピッタリ入れられません
さらに…
これは二階の壁と床の取り合い部分を覗いているところ。
おわかりだろうか…
床も少し下地を逃しておいて、シートと断熱材を1階の壁と連続させてるやんかーー!
そらここも鉄骨の梁がおるんやからそうした方がええわなーー!!
(三重弁)
一階の天井裏を覗くとこんな感じで断熱材とシートが降りてきていますね。
外側には鉄骨梁がいるので、
そいつを断熱材で覆う為に
床下地を逃しておいてもらいました。
こんな施工の積み重ねで、少しずつ工事を進めております。
XPSがはれたら、その上から下地(30mm)で抑えて、
この下地の30mmが電気配線などを通すスペースになります。
せっかく隙間無く施工した断熱材やシートに穴をたくさん開けたくないので、
配線スペースを取って配線配管と断熱材が干渉しないようにしています。
リノベーションなのでいつもと少し施工内容が変わっていますが、基本は新築も同じ考えで施工しています。
リノベーションの方が、既存の状況に合わせる必要があるので少し複雑になり易いですが…
考え方は全く同じ。
断熱とシート(防湿層)は必ず直接連続させる。
(下地などを挟まない)
いつもこんな感じで設計と施工をするので、
スイスイ作業が進むことはまず無く…
費用もローコストメーカーさんと比べれば当然高めになると思います。
(これぐらい真面目にやって、仕上げの意匠も中々こだわっている割にはお値打ちだと思っていますが^^;)
でも、ここは妥協せずにやっていこうと思っています。
いくらか費用をかけてでも確実な施工をする。
そうすることこそ、大きなお金をお支払い頂く
住まい手にとっての最善だと考えているからです。
何十年と住む建物、長期的に考えれば
・躯体が痛まず長持ちする
・壁体内結露の心配が無くなる(カビの繁殖等)
・断熱性が高く健康で快適に暮らせる
・少ないエネルギーで空調が出来るので光熱費が抑えられる
・きちんと計画換気が出来る(隙間風等で換気計画が狂わない)
etc… メリットはあげはじめたらキリがない!
建築費用だけ抑えて、
安いと錯覚させるような住まいは建てたくありません。
この辺りの内容は、毎回その物件にはどのような施工方法が最適が悩んで検討しています。
仕上げの意匠にも配慮しながら進めないといけませんしね。
仕上げた時になるべくスッキリとなるよう、意匠を考えながら下地を納めていくようにしています。
だからこそ、設計/施工で請負いしているんです。
(とか何とか言って、結局は現場が好きなので現場に行きたいだけの気もしますが(^^ゞ笑)
考えれば考える程、現場は奥が深くて面白いですよ。
現場で見たり、職人さんと話したり、感じたことを、
次の設計で調整する。
また、現場でそれを確認して、職人さんと相談する…
の繰り返しです。
この辺りの話しはインターネットには転がっていないですね。笑
現場は楽しいです。
…ということで、今回はここまで!
理解しにくい内容で、しかも長文 お疲れ様でした…^^;
久しぶりにマニアックなことを書いたなー。笑
こんな内容はたくさんあるのですが、こういうことばかり書いても
断熱マニア(自分も含め)しか読んで喜ぶ人はいないと思うので、少し自粛しています。笑
さて…もうすぐ、これまた僕が超大好きな、
LDKの大開口とファサードの連続開口に取り付く
【高性能木製サッシ(ュ)】が届きます。
こりゃー、現場通いが止まらずに、
他の仕事(新しい案件の設計等)が中々進みませんねぇ……。
(…夜に頑張っていますよ。)
END.